これは、下肢の動脈が狭くなり、血液が十分に循環できない状態で、狭窄の程度により様々な症状を呈します。
歩行時に下肢の筋肉痛が起こり、休むと痛みが消えまた歩けるようになる、というのが典 型的な症状です。もっと狭窄が進むと、歩かなくても下肢の筋肉痛が起こり、さらには潰 瘍や壊疽ができたりします。
さて、このような下肢の血管の状態を調べるにはどうしたらよいのでしょうか。手っ取 り早いのは下肢の動脈に造影剤(レントゲンに写る検査薬)を注入してレントゲン撮影をす ることです。動脈の内腔の形状が具体的にわかりますが、外来で簡単にできる検査ではあ りません。
もっと簡単な方法は通常の腕で測る血圧と、足首で測る血圧の比をとることです。足首の 血圧を腕の血圧で割って、この値が0.9より小さいと下肢の動脈の狭窄が疑われます。0.5 より小さい場合は直ちに、専門の施設で検査、治療を受ける必要があるといわれています。 しかし、下肢の血管に高度の動脈硬化がある場合、下肢の血圧が正しく測れない場合もあ ります。
また、下肢の血液の流れが悪くなっていると当然下肢の皮膚温が低くなるので、サーモグ ラフィー(温度により色が違って見える装置を使った検査)で調べるということも考えられ ます。しかし、皮膚温はいろいろな条件で変化するので判定は難しいでしょう。
超音波(エコー)や、CT、MRIを使った検査法もあります。
また、動脈の中の血液は常に同じ状態で流れているのではなく、心臓の拍動により圧や、 流量が刻々と変化しています。流れ道に狭いところがあるとこの血液の流れる様子が変わ ってきます。これを観察して動脈の狭窄があるかどうかを判定する方法もあります。
人口の高齢化や、食習慣の欧米化により血管系の病気が増加しているといわれています。 特に糖尿病があると危険が増加するので注意が必要です。