尿酸とは痛風の元になる物質です。肥満があると、血液中の尿酸値が高めになることは古 くから知られていました。
また、糖尿病の教科書には「糖尿病では初期に尿酸値が高く、ある程度血糖値が高くなってくると、 尿酸値は下がり、さらに腎障害の合併が加わるとまた尿酸値が上がってくる」という記載があります。
これは、糖尿病を発症する人は肥満の人が多いため、尿酸値が高く、 尿糖がどんどん出てくる状態では尿酸が尿中に排泄され血液中の尿酸値が下がる、 そして腎臓の合併症が出てくると尿酸の排泄障害が加わり再度血液中の尿酸値が上昇してくる、 ということを表しているものであると理解されていました。
しかし、現在では尿酸と糖尿病はもっと複雑な関係があることがわかっています。さら に、高尿酸血症と心・脳血管障害、動脈硬化、インスリン抵抗性などとの関係についても 研究が進んできています。
高尿酸血症が直接的な血管障害(動脈硬化)の危険因子であることを示唆する研究も出てきています。 動脈硬化を促進するであろうと考えられる因子は単独で存在することは少なく、 たいていは複数の因子がまとめて存在します。 従って、どの因子がどのように悪さをするのかを特定するのは大変難しいことです。
以前は、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高インスリン血症、高VLDL-TG血症、低HDL 血症、高血圧など、動脈硬化を促進する因子は集積しやすく、これを「シンドロームX(X 症候群)」と呼んでいました。最近ではこれに、高尿酸血症や、その他の因子を加えて「シ ンドロームXプラス」などと呼ぶことがあります。
いろいろ難しい理屈はあるのですが、高尿酸血症がある場合は、それだけではなく他に もいろいろな問題を有していることがあるので注意を要します。