おそらく、いろいろなメーカーも同様のことを考えていたに違い有りません。 多分そのようなアイデアがあっても実用化するには いろいろな問題点があったに違い有りません。
そうこうしているうちに、自己血糖測定という新たな分野がどんどん盛んになってきました。 次から次に新しい測定機器が開発され、血糖測定も簡単になっていきました。
「血糖コントロールの自己管理は尿糖測定時代から、血糖測定時代になった」
などともいわれました。
確かに、自己血糖測定のメリットはたくさんあります。 尿糖はある時間内に膀胱にためられた尿中のブドウ糖をみているので、 必ずしも現在の血糖を反映しているわけではありません。 また、腎臓の糖排泄の閾値が上昇すれば、血糖値が高くなっても尿糖が出ないこともあります。 また、尿糖だけをみても血糖値がよい状態なのか、低血糖なのかは判断できません。
便器に尿糖を検知するアイディアについては、筆者の頭の中からすっかり消えていました。 ところが、つい先頃ある有名な陶器のメーカーより、 尿糖を測定する便器を開発したので私のホーム・ページからリンクしてくれないかとのメールをいただきました。
早速、その会社のホーム・ページを見てみると、まだ限定販売で一般には売り出してい ないこと、尿糖測定は試験紙法のように定性的なものではなく、ブドウ糖濃度を数値で表 示する定量的なものであること、便器そのものがセンサーになっているのではなく、必要 時にセンサーが出てきて、これに尿をかけて測定すること、などなどがわかりました。
そのうちに、ある雑誌でこの便器を用いた臨床応用の論文を見かけました。 それによるとこの便器で測定した尿糖の値は血糖値との相関がかなり認められ、自己血糖管理に有用 であることが示唆された、との結論だったように思います。
血糖値や尿糖値を自分で測定することは、糖尿病治療の動機付けの点から見ても好まし いことですが、自己判断で治療法などを勝手に変更・中断することは大変危険ですのでく れぐれも注意してください。