糖尿病と筋肉の異常


 糖尿病で血糖のコントロールが悪いと筋肉が萎縮してくることがあります。 この現象は19世紀頃より知られていましたが一般の人にはあまり知られていません。 その理由は頻度が比較的低く、直接生命に関わるようなこともあまりないからかもしれません。 しかし、筋萎縮がある場合は糖尿病性網膜症や、腎症などを合併していることが多いので 油断はできません。

 では、どこの筋肉が萎縮するのでしょうか。 一番多いのは太股の筋肉です。 特に太股の後ろ側の筋肉が萎縮することが多いようです。 この筋肉が弱るとしゃがんだ状態から立ち上がることが難しくなります。 和式のトイレでパイプなどにつかまらないとうまく立ち上がれない時は要注意です。 そのほかにも、背中の筋肉、おなかの筋肉、手の人差し指と親指の間の付け根にある筋肉などが 萎縮します。 左右同じように萎縮する場合と片側だけ萎縮する場合があります。  また、昔は筋肉が萎縮して筋肉の力が落ちるだけで知覚に異常はでないと言われていましたが、 最近では知覚の異常も高頻度にみられるということがわかっています。

 では、どのような人が筋萎縮を起こしやすいのでしょうか。 一つは最初にも書いたように血糖コントロールの悪い時に起こります。 あと、高齢者でも頻度が高いようです。また、男性に多いという報告があります。

 では、なぜこのような筋肉の萎縮が起こるのでしょうか。 まだ、完全に研究者の意見が一致しているわけではないのですが、 神経障害がその主な原因であろうと言われています。 筋肉に命令を送る神経が障害されると、筋肉自身も障害を受け萎縮してきます。

 治療は血糖のコントロールにつきます。血糖が改善すると比較的早期に筋萎縮が回復してきます。  血糖のコントロールが悪いといろいろ都合の悪いことが起こってくるものですね。


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