糖尿病とうつ


昔から糖尿病の人はうつ状態の人が多いと言われていました。

糖尿病のある人は、そうでない人に比べうつの割合が2倍であるとの報告もあります。

うつ状態については、最近の分子生物学的な研究で脳の中のセロトニンやカテコラミンという物質が不足していることかわかっています。

セロトニンはトリプトファンという物質から脳内で作られます。インスリンはセロトニンの原料であるトリプトファンの脳内への取り込みを促進します。したがって、インスリン作用の減弱している糖尿病状態では、トリプトファンが脳内に充分供給できなくなり、セロトニンが不足するとも考えられています。

逆に、うつ状態が改善すると、糖尿病の状態が改善することも知られています。 特に最近うつに使われるSSRIとよばれる抗うつ薬はインスリン抵抗性を改善することが知られています。

うつ状態では血液中のコルチゾールが増加しています。これは、ストレスに対抗するホルモンの一種です。コルチゾールは古くより、インスリン作用を阻害します。うつ状態が改善するとコルチゾール濃度も低下しインスリン抵抗性が改善する一因となっています。

現在では遺伝子レベルで、糖尿病とうつの関係についての研究が進んでおり、今後さらにいろいろな新知見が報告されることが予想されています。


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