新聞や雑誌で「糖尿病」というと2型糖尿病を指すことが多いようです。2型糖尿病の方が、圧倒的に多いからでしょう。
1型糖尿病の大部分は小児期もしくは、若年期に発病するので、子どもの病気というイメージが強いようです。しかし、20年位前の統計でも14歳で発病した糖尿病では、1型と2型の頻度が同程度であると言われていました。つまり、20年前でも、中学生くらいで発病した糖尿病は1型と2型の頻度が半々くらいであるということです。最近は1型と2型の頻度が同程度になるのは小学生であると言われています。裏を返すと、低年齢の2型糖尿病が急速に増加しているということでしょう。
世界的にみると、1型糖尿病の多い地域というのは存在するのでしょうか。昔から、フィンランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェーといった北欧諸国が1型糖尿病の頻度が高いと言われていました。(なお、日本国内では地域による、1型糖尿病の発症率に差はないと考えられています。)北アイルランドやイギリスでも頻度が高いと言われていました。つまり、緯度の高い地域に1型糖尿病が多いのではないかと考えられていました。これらの地域では1型糖尿病に関連した遺伝子が集積していて、1型糖尿病を発症する頻度も高いと考えられてきました。日照時間との関連を調べた研究もあったようです。
しかしながら、最近はこの傾向は崩れつつあります。緯度の低い地域でも1型糖尿病の発症率が高い地域も散見されるようになってきました。 これは、疾患の発症率が変わってきたのか、今まで統計をとれなかった地域でも統計をとりはじめるようになったためなのかはもう少し検討を要するでしょう。