糖尿病とデータベース


糖尿病に限りませんが、ある病気の性質・特徴を調べるためには、大規模な調査が欠かせません。多数のデータを集めることにより、有益な情報を得ることも少なくありません。すでに多くの大規模調査が企画され進行しつつあります。

調査により得たデータは、蓄積していく必要があります。つまりデータをデータベースに蓄積していくわけです。

データベースは第2次世界大戦中に米軍により考案されたと言われています。それまで、あちこちに分散していた資料を一カ所に集約して、そこに行けばあらゆる情報が引き出せるというシステムです。データベースの「ベース」とは文字通り「基地」という意味でした。 現在では、このデータベースはコンピュータになりました。ほとんどのデータベースは「リレーショナル・データベース」という形式を取ります。

これは、何かというと多数の表がそれぞれ関係しあってなりたっています。 表は、縦・横の升目から成り立っています。 たとえば、列にID番号、氏名、性別などの項目を記入したものを思い浮かべるとよいでしょう。このような表を多数用意します。

糖尿病の調査では具体的に血糖値とかHBA1cの項目が必要となるでしょう。 では、ID番号、年齢、性別、氏名、血糖値、HBA1cの項目を持つ表を作ればよいのでしょうか。小規模な調査ではそれでも良いかもしれません。しかし、大規模な調査ではこのような方法はとりません。ID番号と氏名はその人にとって永久的に変更が無いものとします(ごく希に名前を変更する人もいますが、簡単のためにそのようなことは無いと考えます)。ID番号と氏名の表が大元の表となります。

生年月日を加えても良いかもしれません。この表は変更することのない項目からのみ成り立っています。また、ID番号は重複したものはないものとします。

次に、検査の種類の表を作ります。この表には検査番号と検査の種類を項目に持ちます。たとえば1番の検査は血糖値の検査、ということが書かれた表です。

そして、次に検査結果の表を作ります。この表には検査を実施した日付、何の検査かを示す検査番号、誰がこの検査を受けたのかを示すID番号、そして、その検査の結果を記入する検査結果欄などからなります。

そして、この3つの表を関連づけてからいろいろな調査を行うわけです。これをリレーショナル・データベースといいます。

さて、データベースにデータをためるたり、そこから検索したりするシステムが必要になります。これをデータベース管理システムといいます。これは、いろいろな製品が世の中に出回っています。しかし、製品毎に扱いが異なると、大変不便です。そこで、規約が作られ、それに従うようになっています。そうすると、製品が異なっても、使い方は同じになり大変便利になります。

管理システムに「このデータを使いしろ」とか「これこれの条件を満たすデータを探してこい」などの命令を出すにはSQL文というものを使います。これもどの千品でも同じです。また、最近はコンピュータは単独で使うのではなく、ネットワークの中で通のが常識となっており、データベースの管理システムはサーバとして提供されることがほとんどです。これをSQLサーバといいます。

当院でも独自にSQLサーバを導入して、データの蓄積実験を行っています。まだまだ実験段階ですが、いつの日か臨床に役立つデータベースができるかもしれません。


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