再々度糖尿病とインターネット


最近は、病気のことをインターネットで調べる患者さんが増えてきました。つい先日も一般にはなじみのない病気について、よく知っている患者さんがいました。聞いてみると息子さんがインターネットで調べてくれたそうです。

筆者がインターネットを始めた頃(96年当時)は、インターネットはブームが過ぎて成熟期に入りかけている時代であるといわれていました。にも、かかわらず日本語のホーム・ページはあまり情報源として役立つものは多くはありませんでした。ヤフー(検索サイト)の日本語サイトもまだできたばかりで、ここにはまだ「糖尿病」というカテゴリーはありませんでした。(筆者がヤフーに頼んで作ってもらいました。)

しかし、最近は「糖尿病」で検索すると、実に多くのページにヒットします。あまり多すぎてどれを読んだらよいかわからなくなるほどです。

さて、インターネットのおかげで大変便利になったことも多いのですが、インターネットから被害を受けることも少なくないようです。

ウィルス付きのメールが毎日多数送られて来て、困っている人も多いでしょう。 コンピュータウィルスについては、知らない人はいないと思います。ウィルス対策ソフトも多数市販されています。パソコンを購入すると最初から、ウィルス対策ソフトがついてくるものも多いようです。最近は、プロバイダでメールサーバーごと監視をしているところもあります。

ウィルスは、誰が作ったのか作者が不明です。(時には作者が判明して逮捕されたりしますが、ごくまれなことです。)

ここ何年かは、ウィルスに匹敵、あるいはもっと悪質なものがあります。 「スパイ・ウェア」と呼ばれるものです。比較的パソコンに詳しい人でも「スパイ・ウェア」については知らない人が多いようです。一体これは何でしょうか。

この、スパイウェアが自分のパソコンに入っていると、いつの間にかいろいろな情報が外部に流出してしまいます。スパイ・ウェアは作った会社とか作者がはっきりしています。また、これをパソコンに入れる前に「あなたの情報の一部を当社が入手することがあります。」という意味のことが書かれた使用許諾書が表示されます。しかし、これは膨大な文書で全部目を通す人は皆無でしょう。ましてや、外国語で表示してあればなおのこと読まないでしょう。これが、盲点なのです。作者もはっきりしており、使用前に自分の情報が外部に出ることを承知の上で使用者がそのソフトを使うのです。現在の法律では、これを取り締まることはできません。

このスパイウェアは、便利な無料ソフトに仕込まれていたり、有料ソフトのおまけとしてついて来ることもあります。また、そのソフトを作った会社にのみ情報がわたるのではなく、途中で悪意を持った第3者にわたってしまうこともすくなくありません。 これは、ウィルスよりたちが悪いと思われます。

スパイ・ウェアの対策ソフトの数はまだ大変少ないようです。 「糖尿病」を検索していて、糖尿病の知識のかわりにスパイ・ウェアを仕入れたりすることのないよう注意する必要があります。


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