糖尿病と体格指数


糖尿病のコントロール指標の一つに、肥満の是正というのがあります。 適正な体重を維持することは、糖尿病治療にあたって非常に重要なことです。 では、適正な体重とは、どのように求めたらよいのでしょうか。 昔から、いろいろな方法が、提案されています。 その一部を紹介します。1962年、箕輪らは、 日本人成人男女別の標準体重表を作成しました。 これは、日本人の平均値を求めたものではなく、中央値(小さい順に並べ、その真ん中の値) を求めたものです。しかしこの体重表は、現在の栄養状態に比べ、現実的ではないため、 今ではほとんど用いられることはありません。 記憶されている方もあるかもしれませんが、1986年に新聞に大々的に載せられた、 厚生省の標準体重表というのがあります。 これは、日本人の性、年齢、身長別体重の分布調査に基づき、 太りすぎからやせすぎまで、5段階に分類したものです。 しかし、この表は加齢に伴う体重増加を容認したものであるという批判もあります。 少なくとも、糖尿病においては、体重の基準が甘すぎるように思われます。 身長(cm)-100をブローカ指数といいますが、日本人では、 これに0.9をかけたものを標準の体重とする計算法もあります。(桂変法) しかし、これは身長の低い人には厳しくなるという欠陥があります。 筆者は、糖尿病の食事のカロリーを決定するとき必要な標準体重 をもっぱらこの方法により計算しています (身長が150cm未満の人は0.9をかけずブローカ指数を標準体重としています)。 最近BMIという指標が、国際的にもよく使われてきています。 これは、体重(kg)を身長(m)の2乗で割った値です。 たとえば、身長160cmで体重が、70kgの場合は、70÷(1.6×1.6)=27.3となります。 日本人では、男性で22.0女性で21.5位がよいのではないかと考えられています。 この方法により、男性は22、女性は21となる体重を標準体重に しようという考えも出されています。 では、標準体重を何パーセント上回ると肥満というのでしょうか。 これも決まったものはありませんが、糖尿病、高血圧、 心筋障害の有病率から考えて、少なくとも+10%以内にはしておきたいものです。


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