糖尿病とコンピュータ


意識するしないにかかわらず、 私たちの生活の中にコンピュータが次々と入り込んできています。 洗濯機やら、電気ポットやら、電気炊飯器などほとんどの電気製品は、 マイコン制御で動いています。 パソコンの普及率も驚くほどのびています。 これだけ日常的になってきているコンピュータですが、 糖尿病とはどのような関わりを持っているのでしょうか。 まず、研究面での一例を挙げます。 糖尿病の時の血糖がどのように制御されているかを、 計算するのに使われています。 すなわち、血糖値が決まるメカニズムは、まだ十分わかっていないところもあるのですが、 いくつかの事実や、仮説をもとに、血糖値が決定される方程式をつくり、 この解答をコンピュータを利用して求めるのです。 そして実際にある条件のもとで本当に患者さんの血糖値が計算通りの価を取るか調べたりしています。 こういうことを積み重ねることにより、仮説が正しいのか間違っているのかが推測され、 より精密な血糖制御のメカニズムに迫ることができます。 人工膵臓などにもこうした技術が生かされています。 筆者も、ある血糖の日内変動を有する患者さんに、インスリンを○○単位皮下注射すると、 その後の日内変動は、どうなるかを予測するシステムの開発をしていたことがあります。 (実際には、血糖値に影響する要素があまりに多く、未だ実用化していない) 次に実際の日常臨床では、教育的な目的に使われ始めています。 食事指導のためのコンピュータ・ソフトも市販されているようです。 これからは、患者さんもコンピュータの前で、勉強する時代になっていくものと思われます。 一般にある年齢以上の方は、コンピュータと聞いただけで、 アレルギー反応を起こしてしまいます。 しかし現在は、使い方も至って簡単で、 テレビの操作と同じ感覚で扱えるのでなにも心配はいりません。 


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