糖尿病と感染症


細菌やウィルスなどの微生物が体の中に進入して、増殖しその結果として生じる病気を感染症といいます。 糖尿病では昔から、感染に弱く、一度感染を起こすと重症化すると言われてきました。 その理由についてもいろいろな説があります。

体の中には、細菌などの異物が進入してくると、これを防御する働きがあります。この仕組みは非常に複雑ですが、かなりの部分は解明されています。

もっとも単純な防御機構は、白血球が細菌などを直接攻撃して、これを食べてしまう、というものがあります。糖尿病ではこの、白血球の食菌作用が低下しているとの報告があります。特に血糖値が250以上あると急速に食菌作用が低下することが知られています。また、感染症が存在するとインスリンの効き目が悪くなり、血糖値が上昇しますので食菌作用がさらに低下し感染症が悪化することになります。

また、コントロール不良の糖尿病では白血球の食菌作用以外の、防御メカニズムも低下していることが多く、いろいろな感染症を引き起こしやすい状態にあるといえます。

どのような感染症が多いかというと、肺炎などの呼吸器感染症や、尿路系の感染症が多いと言われています。また、水虫も糖尿病で増加するとの報告も見られます。

高血糖を放置しておいてもすぐには何の症状もありません。しかしいずれ、重大な感染症を引き起こす原因となるので、普段の血糖コントロールが重要です。


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