糖尿病と高脂血症


糖尿病で中性脂肪の高い人が多く存在することは昔から知られていました。その理由に ついても多くの研究があります。

糖尿病状態では何らかの理由でインスリンの効き目が悪くなっています。 あるいは、インスリンそのものが少なくなっています。

さて、脂肪を分解するものとしてリボタンパクリパーゼ(LPL)という酵素があります。 これは毛細血管の内側の表面に存在していて、インスリンがないとうまく働きません。 従って糖尿病では脂肪の分解がうまくいかず、血液中の中性脂肪が上がってしまいます。 さらに糖尿病では遊離脂肪酸や糖の肝臓への流入が増加しており、脂肪の合成も増えています。

また、中性脂肪が多いと、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が減ることも知ら れています。「脂肪毒性」についてはすでに第78回で述べました。これがあると糖尿病が 悪化しさらに悪循環が進みます。

糖尿病では、何かが悪い方向に向かうと次々と、良くないことが起こってきます。 しかし何かが改善してくると、いろいろなものが良くなってきます。悪循環を断ち切り、 すべてをよい方向に持っていくことが重要です。

食事療法をきちんと行うことが、悪循環を断ち切るきっかけとなることが多いようです。


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