特に、インスリン依存型糖尿病で多いとされています。 また、この現象は糖尿病の人ばかりではなく健康人でも見られることがあります。
なぜこのような現象が起きるかは昔から議論されてきました。
一つの原因として「成長ホルモン」が考えられています。午前4時ころの早朝からこ のホルモンの分泌が増えてきます。成長ホルモンはインスリンの働きを妨害しますので糖 尿病の人では血糖が上昇することになります。
外国ではこの現象を防止するために大量の抗コリン剤(胃薬にはいっている )を使うことがあります。 日本では、この治療法は普及していません(保険で認められていない)。
暁現象が見られる場合就眠前に適量のインスリン注射が行われますが、 なかなかうまくいかないことが多いようです。
一方、最近では暁現象の原因は成長ホルモンではなく、 別の物質であるとする研究も見られます。 その1つにはIGFBP-1(IGF-binding protein-1)が考えられています。 早朝にかけてこの物質が血液中に増加して、インスリンが低下するというものです。 他にもいろいろな説があります。
さて、次に「ソモギー効果」というものを説明します。ソモギー(Somogyi)とは研究者の 名前です。これは、インスリン治療中に低血糖が起きると、次に高血糖になるというもの です。
低血糖になるとアドレナリンなどのホルモンが分泌されます。 これが、高血糖を引き起こすと考えられてきました。
多くの研究者が多数の患者を調べていろいろなことが言われて来ました。 血液中のコルチゾールがこの現象の原因であるという説、そうではなく インスリンの濃度が問題であるという説、その他たくさんの説がありました。
朝の空腹時血糖が高い場合、就寝前のインスリン注射の量が少ないのか、もしくは多す ぎて夜間に低血糖が起こり、ソモギー効果で血糖が高くなったのかなどという議論もよく 行われました。
しかし最近ではインスリン依存型糖尿病における早朝高血糖の原因はインスリン不足が 主たるものである、というのが結論のようです。