糖尿病と妊娠


糖尿病があっても、きちんとした血糖コントロールを行っていれば、 全く正常な社会生活を送れることは、すでにご存知のことと思います。 したがって、糖尿病を持っているからと言って結婚に差し支えがあるということはありません。 しかし、妊娠・出産に関しては、細心の注意が必要となります。

血糖コントロールが不良のまま、妊娠するといろいろ重大な問題が生じます。 合併症を持った人が妊娠すると、合併症が悪化することがあります。 ある程度進んだ網膜症を持っていると妊娠によりこれが悪化して失明することもあります。 腎症を持った人では妊娠により腎機能が極端に悪化することもあります。 妊娠中に糖尿病のコントロールが悪いと子供が奇形を持つ確率がグンと高くなります。 妊娠中毒症を起こしやすくなったりもします。

したがって、妊娠する前から血糖コントロールを十分に行う必要があります。 「妊娠したので血糖をよくしよう」というのでは手遅れです。 糖尿病を持っている人は、計画妊娠・計画出産が重要です。 血糖コントロールも、糖尿病のない人と同じくらいの血糖値にしておかなくてはいけません。 ある程度進んだ合併症を持っていると妊娠・出産が禁止となることもあります。 したがって、妊娠出産を希望する場合は、なるべく若いうちにすませてしまうということも大事です。 また、たくさんの子供を産むと、糖尿病治療に悪影響を与えるので子供は2人くらいまでが望ましいとされています。 また、妊娠初期には低血糖を起こすことがあるので、 低血糖の時の処置にもなれておく必要があります。

そしてなによりも、糖尿病妊婦の取り扱いを熟知した経験豊かな 産婦人科の管理を受けることが大切です。 結婚を考えている人は、結婚前からこのような産婦人科を探しておくと良いでしょう。


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