一般的には、糖尿病では、亜鉛とマグネシウムが減少すると言われています。 また、多くの微量元素が、インスリンのような作用を持っていると言われています。 すなわち、細胞の中に糖を取り込ませる作用です。この作用が、強いものにセレン、亜鉛、 マンガン、などがあります。
セレンは、昔は毒物であると考えられていましたが、 30年くらい前に生体に必要な元素であることがわかりました。 セレンは、小麦とか、豆類、レバー、魚などに多く含まれているといわれています。 糖尿病では、セレンが減少しているのかどうかはよくわかっていません。 また、セレンがインスリンのような働きをするからといって、 セレンの含まれた食品を多くとっても血糖が下がると言うこともありません。 セレンの化合物の形態や、種類によって作用が異なるためと思われます。 どの食品にどのような形態で、セレン化合物が含まれているかは、ほとんどわかっていません。 また、セレンを多くとりすぎると健康に害を及ぼす可能性も指摘されています。
糖尿病の患者さんの約10%で血液中の亜鉛が低下していると言われています。 亜鉛は、免疫の働きと関係があり、これが不足することにより、 感染症を起こしやすくなることが推定されています。 また、亜鉛は、インスリン様作用がありますが、かなり高い濃度でないと無効です。 普通の食事程度による濃度では、全くインスリン様作用は期待できません。
亜鉛と同様にマグネシウムも糖尿病では、減少していると言われています。 またマグネシウムが不足すると、虚血性心疾患にかかりやすいということも言われています。 マグネシウムが多く含まれている食品は、豆類、玄米、クルミ、海草類ですが、 これらを大量に食べたからと言って、糖尿病がよくなり、 心疾患を防止すると言うことにはなりません。
微量元素については、具体的に何をどのくらいとればよいのか、 とりすぎるとどんな害があるのかは、まだよくわかっていません。 やはり、現段階では、食品交換表にのっとった食事が一番無難で効果的なようです。