メタボリックシンドロームとLPLマス


メタボリックシンドロームは、インスリン抵抗性を基盤にして、高血圧、脂質異常、高血糖などが加わり、動脈硬化性疾患(虚血性心疾患、脳血管障害)のリスクが増大する病態です。この言葉は、すっかり日常生活にも定着して一般に広く使われるようになりました。

また、肥満者を「メタボ」などと呼ぶ、一種の差別語としても使われはじめているようです。

さて、このメタボリックシンドロームと血液中のLPLマスの関係が最近注目されています。 LPLとは、血管の内側の細胞(内皮細胞)に結合した酵素で、中性脂肪を分解します。 この、LPLが血液中に遊離した物がLPLマス(LPL mass)と呼ばれるものです。

LPLマスは、その人のLPL産生量を反映していると考えられています。血清中性脂肪と逆相関することも知られています。中性脂肪が高い人では、LPLマス濃度が低いというわけです。 また、HDL-コレステロール(善玉コレステロール)と比例することも知られています。

メタボリックシンドロームと診断された人は、そうでない人に比べLPLマスが低いことも報告されています。すでに、冠動脈疾患を有している人ではLPLマスが低いことも報告されています。

LPLマスが、日常診療で、普通に測定される日もそう遠くはないと考えられます。


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