実は、それほど最近の言葉ではないのです。Wikipediaによると1998年に群馬大学の高橋久仁子教授により紹介された概念、とされています。(しかし、高橋氏が表した記事によると1991年と書かれています)
これは、特定の食品を食べるだけで健康になる、あるいは特定の食品は有害であるとして、一切口にしない変質的な食生活をすることを指しています。
ある食品さえ摂取すれば、健康になるあるいは、痩せられるということで、糖尿病患者さんの間にも、しばしば流行します。「にがり」「かんてん」「納豆」などいろいろありました。
これには、テレビ番組による影響も強いと考えられます。
最近、ミカンが血糖値を上げないと言うことが何かの番組で放映されたらしく、毎食後ミカンを1個余分に食べたため、血糖値が上昇したという患者さんがいました。
さらに、食物以外にもこの概念を押し広げると、最近では「インフルエンザ=タミフル」という図式もありました。インフルエンザにかかれば、何が何でもタミフルを服用しなくてはいけないと、患者さんのみならず、医療機関も(あるいは国も)考えるようになってしまいました。しかし、ご存じの通り、いろいろ副作用もあるためタミフルは、適応を熟慮して服用しなくてはいけないように変わってきました。これも、広い意味でのフードファディズムと思われます。
食品に対する不安の扇動も、フードファディズムを広めます。炭酸飲料で骨がとけるので、炭酸の含まれたものは、一切口にしないという人もいます。動物性タンパクは、悪であると決めつけ、いっさい動物性タンパクをとらない人もいます。しかし、極度の動物性タンパクの摂取不足は危険もあります。
最近では、「トランス脂肪酸」が、癌や心筋梗塞の原因になるとのことで、規制する動きがあります。
炭水化物は血糖値を上げるので、糖尿病では炭水化物を一切避けるといったフードファディズムもありました。
ほかにも、例をあげるときりがありません。特に重要なことは、これが、個人単位の信仰ではなく、もっと大がかりな信仰につながりかねないということでしょうか。
なんでも、ほどほどがいいのでしょうね。