糖尿病と医療経済


最近医学のどの分野でも、医療経済に関する話題が多いようです。医学雑誌などでもしば しば取り上げられています。筆者が医者になりたてのころでは、考えられなかった状況で す。国全体の医療費が大幅にのびているのも、事実です。

2001年度の国民医療費が31兆3千億円であったと報じられています。このうち、糖 尿病関連の医療費が約1兆2千億円であると言われています。また、この糖尿病関連の医 療費は、20年で約6倍に増えているとも言われています。

糖尿病の有病率が急速に増加しているのも原因の一つであると思われます。 まずは、糖尿病の発病を抑え、発病しても血糖コントロールを良好に保ち合併症の発生を 抑えることが、根本的な対策であると考えられています。 これは、当然のことでしょう。

その他に、医療のIT化が、医療費の節約につながるとの考え方もあります。電子カルテの普及により、すべての医療機関で検査データなどを共有できれば、無駄な検査も省け、病気の早期発見、早期治療に結びつき医療費の節約になるとの考え方です。話だけ聞くと、なるほどその通りと思えます。

しかし、現状ではどうでしょうか。いろいろな役所でIT化が進むと、紙の使用量が減り、経費の節減と同時に、木材等の資源の保護になるとも考えられていました。

しかし、IT化が進めば、進むほど紙の使用量は何倍にも増加しているのが現実です。

これが、IT化がまだ過渡的な段階であるための現象なのでしょうか。もっと本格的にIT化 が進めば費用の節約になるのでしょうか。

IT関連の技術も急速に発展していると言われています。しかし、現実はどうでしょうか。 全く技術力のない業者が、どうしようもないデタラメなソフトを作り、これをありがたが って崇拝している医療関係者があとをたたない限り、ITが医療経済や、医療を良い方向に 導くとは考えられないと思われます。


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