第34章 エジットコントロールの張り付け


クライアント領域に直接入力しているかのように見せかけることは できないでしょうか。実は簡単な方法があります。 第28章でボタンを張り付けました。 (貼り付けるという表現は 正しくないですが、気持ち的には「貼り付ける」ですね)

それと同じようにエジットボックスを貼り付ければよいのです。

今回は、エジットボックス(エジット・コントロール)に 自分の名前と、生まれた西暦を入力して年齢を調べるという 簡単なプログラムを作ってみましょう。 まずは、エジットボックスを呼び出す方法ですが、ボタンの時と ほとんど同じです。例を示します。

hEWnd1 = CreateWindow("EDIT", //エジットコントロール "ここに入力", //最初に表示される文字列 WS_CHILD | WS_VISIBLE, //ウィンドウスタイル 60, 10,//表示位置 100, 20,//幅、高さ hWnd,//親ウィンドウのハンドル (HMENU)ID_EDIT1,//エジットコントロールのID hInst,//インスタンス・ハンドル NULL);//通常NULLです

これで、もうおわかりですね。 エジットボックスに入力された文字列を取得するには GetWindowText関数を、セットするにはSetWindowText 関数を使います。 では、早速例題をやってみましょう。

#include <windows.h> #include <stdlib.h> //atoi関数を使うので必要 #define ID_EDIT1 1000 #define ID_EDIT2 1010 #define ID_BUTTON1 1020 #define ID_BUTTON2 1030 HWND hEWnd1, hEWnd2, hBWnd1, hBWnd2; char name[30], birth[30]; LRESULT CALLBACK WndProc(HWND, UINT, WPARAM, LPARAM); BOOL InitApp(HINSTANCE); BOOL InitInstance(HINSTANCE, int); int CalcAge(HWND); //年齢を計算して表示 char szClassName[] = "edit01"; //ウィンドウクラス int WINAPI WinMain(HINSTANCE hCurInst, HINSTANCE hPrevInst, LPSTR lpsCmdLine, int nCmdShow) { MSG msg; if (!hPrevInst) { if (!InitApp(hCurInst)) return FALSE; } if (!InitInstance(hCurInst, nCmdShow)) { return FALSE; } while (GetMessage(&msg, NULL, 0, 0)) { TranslateMessage(&msg); DispatchMessage(&msg); } return msg.wParam; }

いつもとほとんど同じですが、ボタンやらエジットコントロールの IDを定義しています。適当に定義しておいてください。 本当は、ヘッダーファイルに書くのですが数が少ないので ソース・ファイルに直接書きました。

//ウィンドウ・クラスの登録 BOOL InitApp(HINSTANCE hInst) { WNDCLASS wc; wc.style = CS_HREDRAW | CS_VREDRAW; wc.lpfnWndProc = WndProc; //プロシージャ名 wc.cbClsExtra = 0; wc.cbWndExtra = 0; wc.hInstance = hInst; //インスタンス wc.hIcon = LoadIcon(NULL, IDI_APPLICATION); wc.hCursor = LoadCursor(NULL, IDC_ARROW); wc.hbrBackground = GetStockObject(WHITE_BRUSH); wc.lpszMenuName = NULL; //メニュー名 wc.lpszClassName = (LPCSTR)szClassName; return (RegisterClass(&wc)); }

ここも、いつもと同じです。

//ウィンドウの生成 BOOL InitInstance(HINSTANCE hInst, int nCmdShow) { HWND hWnd; hWnd = CreateWindow(szClassName, "猫でもわかるプログラミング", //タイトルバーにこの名前が表示されます WS_OVERLAPPED | WS_SYSMENU, //ウィンドウの種類 CW_USEDEFAULT, //X座標 CW_USEDEFAULT, //Y座標 250, //幅 120, //高さ NULL, //親ウィンドウのハンドル、親を作るときはNULL NULL, //メニューハンドル、クラスメニューを使うときはNULL hInst, //インスタンスハンドル NULL); if (!hWnd) return FALSE; ShowWindow(hWnd, nCmdShow); UpdateWindow(hWnd); return TRUE; }

ここも、いつもとほぼ同じです。しかしよく見ると少しだけ違うところがあります。 ウィンドウの種類がいつもは、WS_OVERLAPPEDWINDOWになっていますが、今回は WS_OVERLAPPED | WS_SYSMENU になっています。

ヘルプを見ると、WS_OVERLAPPEDWINDOWは WS_OVERLAPPEDにWS_CAPTION, WS_SYSMENU, WS_THICKFRAME, WS_MINIMIZEBOX, WS_MAXIMIZEBOXを加えたものであると 書いてあります。この場合、親ウィンドウのサイズを変える 必要はないので、WS_OVERLAPPEDとWS_SYSMENUスタイルに しました。

//ウィンドウプロシージャ LRESULT CALLBACK WndProc(HWND hWnd, UINT msg, WPARAM wp, LPARAM lp) { int id; PAINTSTRUCT ps; HDC hdc; HINSTANCE hInst; switch (msg) { case WM_CREATE: hInst = ((LPCREATESTRUCT)lp)->hInstance; hEWnd1 = CreateWindow("EDIT", "ここに入力", WS_CHILD | WS_VISIBLE, 60, 10, 100, 20, hWnd, (HMENU)ID_EDIT1, hInst, NULL); hEWnd2 = CreateWindow("EDIT", "YYYY", WS_CHILD | WS_VISIBLE, 120, 30, 100, 20, hWnd, (HMENU)ID_EDIT2, hInst, NULL); hBWnd1 = CreateWindow("BUTTON", "計算開始", WS_CHILD | WS_VISIBLE | BS_PUSHBUTTON, 10, 50, 100, 30, hWnd, (HMENU)ID_BUTTON1, hInst, NULL); hBWnd2 = CreateWindow("BUTTON", "クリア", WS_CHILD | WS_VISIBLE | BS_PUSHBUTTON, 130, 50, 100, 30, hWnd, (HMENU)ID_BUTTON2, hInst, NULL); break; case WM_PAINT: hdc = BeginPaint(hWnd, &ps); TextOut(hdc, 10, 10, (LPCTSTR)"名前:", 6); TextOut(hdc, 10, 30, (LPCTSTR)"生年(西暦):", 14); EndPaint(hWnd, &ps); break; case WM_COMMAND: switch (LOWORD(wp)) { case ID_BUTTON1: GetWindowText(hEWnd1, (LPTSTR)name, 30); GetWindowText(hEWnd2, (LPTSTR)birth, 30); CalcAge(hWnd); break; case ID_BUTTON2: SetWindowText(hEWnd1, NULL); SetWindowText(hEWnd2, NULL); break; default: return(DefWindowProc(hWnd, msg, wp,lp)); } break; case WM_CLOSE: id = MessageBox(hWnd, (LPCSTR)"終了してもよいですか", (LPCSTR)"終了確認", MB_YESNO | MB_ICONQUESTION); if (id == IDYES) { DestroyWindow(hWnd); } break; case WM_DESTROY: PostQuitMessage(0); break; default: return (DefWindowProc(hWnd, msg, wp, lp)); } return 0L; }

大変長いのですが、よく見ると簡単です。 WM_CREATEのところで、エジットコントロール2つと、 ボタンコントロール2つを作っています。

インスタンスハンドルの取得については、いろいろな方法が ありますので第19章を参照してください。 WM_PAINTのところでは、単に「名前」と「生年(西暦)」 を表示しているだけです。 WM_COMMANDのところでは、ボタンが押されたときの 処理をしています。押されたボタンがID_BUTTON1ならば、 エジットコントロールからかかれている文字列を取得して、 年齢計算関数(自作)を呼び出しています。

ID_BUTTON2が押されたときは、単にエジットコントロール をクリアしているだけです。

int CalcAge(HWND hWnd) { SYSTEMTIME st; int age; char str[256]; char *str_org = "%sさんの年齢は%d歳です"; GetLocalTime(&st); age = st.wYear - atoi(birth); wsprintf(str, str_org, name, age); MessageBox(hWnd, str, "年齢", MB_OK); return 0; }

最後に、年齢計算の関数です。現在の西暦から 生まれた年を引いて、メッセージボックスで表示するだけです。 GetLocalTime関数については、すでに第10章で少しだけ 触れていますが、使い方については解説していませんでした。 簡単です。

VOID GetLocalTime( LPSYSTEMTIME lpSystemTime // システムタイム構造体のアドレス );

これで、システムタイム構造体に現在の日付、時間がセットされます。 システムタイム構造体は次のように定義されています。

typedef struct _SYSTEMTIME { // st WORD wYear; WORD wMonth; WORD wDayOfWeek; WORD wDay; WORD wHour; WORD wMinute; WORD wSecond; WORD wMilliseconds; } SYSTEMTIME;

wDayOfWeekには、日曜日が0、月曜日が1、というように セットされます。



起動すると左のようなウィンドウが出現します。 このウィンドウは大きさを変えることができません。 また、最小化ボタンと最大化ボタンがないことに注意 してください。

クリアボタンを押してエジットボックスをきれいにしてから、 自分の名前と生年を入力します。 その後、「計算開始」ボタンを押すと・・

左のようなメッセージボックスが出現します。 (ここで登場する「粂井康孝」という人物は架空の人物です)


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Update May/18/1997 By Y.Kumei
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