これは、医学的に、大変難しい問題が含まれていて一言で答えるのは困難です。 さらに日本では酒席が社会的に重要な意味を持つことが少なくないため、問題をさらに複雑にしています。
一般的にはすでに糖尿病性合併症を持っていたり、薬物療法を受けている糖尿病患者さん では、飲酒により深刻な問題が引き起こされる可能性があるため、原則的には禁止とする ことが多いようです。
遺伝的には全くアルコールを飲めない人、少し飲める人、いくらでも飲める人に分類す ることができます。遺伝的にアルコールを全く飲めない人は、少しでもアルコールを口に すると具合が悪くなるので、飲酒で問題を起こすことは少ないと考えられます。いくらで もアルコールを飲める人は、ついつい大量の飲酒をしてしまい失敗することも多いようで す。
さて、遺伝的なアルコールに対する強さと、飲酒による糖尿病の血糖コントロールへの 影響についてはほとんど知られていませんでしたが、最近少しずつ報告が見られるように なりました。
体内に入ったアルコールは、アセトアルデヒドというものに変化し、これが 二日酔いなどの原因となります。このアセトアルデヒドを速やかに分解できるかどうかが アルコールに対する強さとなります。
アセトアルデヒドはインスリン抵抗性を増大させたり、インスリンの分泌を悪くすることが知られています。
そして、遺伝的にアルコールに弱い人はこのアセトアルデヒドが蓄積しやすく、飲酒により血糖が悪化しやすいのではないかと考えられます。またこれを支持するような臨床研究も出てきています。
しかし、飲酒と血糖コントロールの関係は大変複雑で、解決されていない点が多数あり ます。今後の研究が期待されます。