私たちは全く何もしない状態でもエネルギーを消費しています。呼吸とか、消化管の運 動とか、心臓の鼓動など生きていく上で必要最低限のエネルギーを基礎代謝などといいま す。
また、椅子に座って安静にしているだけで姿勢を保つために筋肉が少し使われ、消費 エネルギー量が増えます。この増加分と基礎代謝を加えたものを安静時代謝といいます。
さて、何か作業(運動)をした場合エネルギー消費はさらに増加します。この時の総エ ネルギー消費量を活動代謝総量などといいます。また、作業をしたために安静時代謝より 増加したエネルギー消費量を活動代謝などということがあります。
運動の強さが強いと活動代謝がそれだけ増えます。活動代謝量を基礎代謝量で割った値 をエネルギー代謝率(RMR)といいます。基礎代謝は一定なのでこの値が高いほど運動強 度が強いと考えられます。
このエネルギー代謝率は厚生省で発行されている書籍に記述が あります。これをみてみると食事は0.4、身支度・洗面、自動車の運転は0.5、そろばん・ ワープロ・OA機器の使用は0.6となっています。これらは、非常に弱い運動とされていま す。
靴磨き1.1、ゆっくりとした歩行1.5、手洗いによる洗濯2.2、電気掃除機による掃除1.7 入浴2.3、ゲートボール2.0などが弱い運動として記載されています。
RMRが2.5から6.0までを普通の運動としています。これには、雑巾がけ(3.5)、急ぎ足 (3.5)、布団の上げ下ろし(3.5)、キャッチボール(3.0)、ラジオ体操(3.5)などがあります。 強い運動としては、階段を上る(6.0以上)、テニス(6.5)、クロスカントリー(9.0)、 水泳のクロール(20)などがあります。
RMRを求めるには、基礎代謝量を測定しなくてはならないため簡便法として活動代謝量 を体重で割った値もよく使われます(Ea)。また、EaとRMRは高い相関があることも知 られています。Eaの値を知っているとどの運動をどのくらい続けると消費カロリーはどの くらいになるかを大まかに計算することができます。たとえば時速10キロのサイクリン グはRMRでは3.4ですがEaで表すと男で0.08/kg/分、女で0.074となっています。体重 が50キロの男性が時速10キロでサイクリングを1時間行うと0.08 x 50 x 60=240 とな り240キロカロリーの活動代謝量となります。 3単位(240キロカロリー)分の食べ 物を取るのはいとも簡単ですが、運動でこのカロリーを消費するのはかなり大変です。