食後高血糖と酸化ストレス


「酸化ストレス」という言葉を耳にするようになって久しくなります。新聞や雑誌などにもしばしば登場する言葉ですね。本当の意味はかなり難しいのですが、おおざっぱに言う活性酸素の発生とか脂質の過酸化反応などが細胞の働きを障害することを指します。 酸化ストレスが動脈硬化をはじめ、いろいろな病気とか、老化などと深い関連があることも古くから指摘されています。

活性酸素を直接測定できれば良いのですが、生体でこれを測定するのは大変難しく実用的な測定法は今のところありません。そのかわり、酸化ストレスで障害を受けた結果として生成される物質を測定してマーカーとしています。マーカーとなる物質は多くのものが知られており、いろいろな病気とか病態で測定されています。

健康人でも食後には酸化ストレスが上昇します。しかし、糖尿病があるとさらに強く酸化ストレスが上昇することも知られています。この直接の原因としていろいろ検討されていますが、どうも食後の高血糖が酸化ストレスの発生に関与しているのではないかと言われています。

また、大規模な疫学調査でも食後2時間の血糖値が心臓血管死の独立した危険因子であることが示唆されています。

さて、インターネットなどで「酸化ストレス」を検索すると実に多くのサイトが見つかります。多くは大学などの研究機関のものではなく、健康食品会社のホーム・ページだったりします。「酸化ストレスを軽減する○○」、「○○は酸化ストレスを消去します。」などといったキャッチフレーズが目を引きます。 この手のものが本当に効果があるのかどうかはほとんど実証されていません。

酸化ストレスを軽減するもっとも効果的な方法は、適切な食事療法により、良好な血糖コントロールを維持することでしょう。


目次(11)に戻る 前の号を読む 次の号を読む ホーム・ページに戻る