血糖値と肥満とインスリン


「血糖値」という言葉を聞いたことがあると思います。 糖尿病で、通院している方には、お馴染みの言葉です。 そうでない方も、人間ドックや検診で聞いたことがあるかと思います。 文字どおり、血の中の糖の値です。正確には、静脈血漿中のブドウ糖の濃度です。 健康な人は、この値がおおよそ、ある一定の範囲内で変動します。 お腹がすいているときは低く、食後に高くなります。 しかし糖尿病になると、この値が、一定の範囲を超えてどんどん高くなります。 200以上あれば、まず確実な糖尿病と考えられます。

ではなぜ、糖尿病では、血糖値が高くなるのでしょうか。 糖尿病でない人は、血糖があがってくるとこれを下げようとする ホルモンが出され、ある水準以上の血糖値にならないのです。 このホルモンは、インスリンといい、膵臓から出されます。 このホルモンの出るタイミングが悪かったり、効き目が悪かったり、 出方が悪いと血糖があがってしまい、糖尿病状態になります。

このホルモンは、肥満があると効き目がものすごく悪くなります。 「太りすぎると糖尿病になる」といういわれは、ここにあります。 糖尿病で通院している方は、よく「もっと体重を減らしなさい」と 耳にタコができるくらい言われていると思います。 糖尿病で、肥満があると膵臓は、血糖値を下げようとして、 インスリンを出そうとします。しかし肥満があるため、 インスリンの効き目が悪くそう簡単に血糖は下がりません。 軽症の糖尿病で、肥満のある人では正常よりもたくさん インスリンが出ていることがあります。 血液中のインスリンが、必要以上に高いといろいろ困った問題が起こります。 このことについては、少し難しくなるのでまた別な機会にお話しします。 初めからインスリンが全然出なくなってしまうタイプの糖尿病もありますが、 これは、「インスリン依存型糖尿病」といって、日本ではあまり多くはありません。 従って多くの糖尿病では肥満が解消されれば、 血糖値も下がり良い状態を保つことができるのです。 


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