第52章 簡易アニメーション その3


今回は、少し視点を変えてアニメーションを実現してみます。 親ウィンドウに直接BitBlt関数でBMPを描画します。 実行結果は前章とほぼ同じです。ただ、こちらの方が画面が 若干ちらつくことがあるようです。

まず普通に親ウィンドウを作ります。 例によって、SetTimer関数でWM_TIMERメッセージを発生させます。 このメッセージを受け取ったら描画するX, Y座標を決めます。 そして、再描画させます。このときすべてのクライアント領域を 再描画するのは不経済なのでちょっとした工夫をします。 WM_PAINTのところではX,Y座標から描画をします。 たったこれだけです。 では、実際のプログラムを見てみましょう。 BMPは前回と全く同じものを用意します。同じように リソーススクリプトを作ります。

ソースファイルは次のようになります。

// ani01.cpp #define STRICT #define ID_MYTIMER 32767 #define BMP_W 79 #define BMP_H 77 #include <windows.h> LRESULT CALLBACK WndProc(HWND, UINT, WPARAM, LPARAM); BOOL InitApp(HINSTANCE); BOOL InitInstance(HINSTANCE, int); char szClassName[] = "ani01"; //ウィンドウクラス int WINAPI WinMain(HINSTANCE hCurInst, HINSTANCE hPrevInst, LPSTR lpsCmdLine, int nCmdShow) { MSG msg; if (!hPrevInst) { if (!InitApp(hCurInst)) return FALSE; } if (!InitInstance(hCurInst, nCmdShow)) { return FALSE; } while (GetMessage(&msg, NULL, 0, 0)) { TranslateMessage(&msg); DispatchMessage(&msg); } return msg.wParam; }

これは、いつもとほとんど同じです。

//ウィンドウ・クラスの登録 BOOL InitApp(HINSTANCE hInst) { WNDCLASS wc; wc.style = CS_HREDRAW | CS_VREDRAW; wc.lpfnWndProc = WndProc; //プロシージャ名 wc.cbClsExtra = 0; wc.cbWndExtra = 0; wc.hInstance = hInst; //インスタンス wc.hIcon = LoadIcon(NULL, IDI_APPLICATION); wc.hCursor = LoadCursor(NULL, IDC_ARROW); wc.hbrBackground = (HBRUSH)GetStockObject(WHITE_BRUSH); wc.lpszMenuName = NULL; //メニュー名 wc.lpszClassName = (LPCSTR)szClassName; return (RegisterClass(&wc)); }

ここも、ほとんど同じです。

//ウィンドウの生成 BOOL InitInstance(HINSTANCE hInst, int nCmdShow) { HWND hWnd; hWnd = CreateWindow(szClassName, "猫でもわかるアニメ", //タイトルバーにこの名前が表示されます WS_OVERLAPPEDWINDOW, //ウィンドウの種類 CW_USEDEFAULT, //X座標 CW_USEDEFAULT, //Y座標 CW_USEDEFAULT, //幅 CW_USEDEFAULT, //高さ NULL, //親ウィンドウのハンドル、親を作るときはNULL NULL, //メニューハンドル、クラスメニューを使うときはNULL hInst, //インスタンスハンドル NULL); if (!hWnd) return FALSE; ShowWindow(hWnd, nCmdShow); UpdateWindow(hWnd); return TRUE; }

ここも似たようなものです。

//ウィンドウプロシージャ LRESULT CALLBACK WndProc(HWND hWnd, UINT msg, WPARAM wp, LPARAM lp) { int id; static int x, y, hoko, client_w; HDC hdc, hdc_mem; PAINTSTRUCT ps; HBITMAP hBitmap; HINSTANCE hInst; RECT rc; enum {right, left}; switch (msg) { case WM_CREATE: if (SetTimer(hWnd, ID_MYTIMER, 200, NULL) == 0) MessageBox(hWnd, "失敗", "failure", MB_OK); break; case WM_TIMER: GetClientRect(hWnd, &rc); client_w = rc.right; if (hoko == left) rc.left = x - 20; else rc.left = x; rc.top = y; if (hoko == right) rc.right = x + BMP_W + 20; else rc.right = x + BMP_W; rc.bottom = y + BMP_H; switch (hoko) { case right: x += 20; if (x + BMP_W >= client_w) hoko = left; break; case left: x -= 20; if (x < 0) hoko = right; break; } InvalidateRect(hWnd, &rc, TRUE); break; case WM_PAINT: hInst = (HINSTANCE)GetWindowLong(hWnd, GWL_HINSTANCE); hdc = BeginPaint(hWnd, &ps); hBitmap = LoadBitmap(hInst, "MYBMP"); hdc_mem = CreateCompatibleDC(hdc); SelectObject(hdc_mem, hBitmap); BitBlt(hdc, x, y, x + BMP_W, y + BMP_H, hdc_mem, 0, 0, SRCCOPY); DeleteDC(hdc_mem); DeleteObject(hBitmap); EndPaint(hWnd, &ps); break; case WM_CLOSE: id = MessageBox(hWnd, (LPCSTR)"終了してもよいですか", (LPCSTR)"終了確認", MB_YESNO | MB_ICONQUESTION); if (id == IDYES) { DestroyWindow(hWnd); } break; case WM_DESTROY: KillTimer(hWnd, ID_MYTIMER); PostQuitMessage(0); break; default: return (DefWindowProc(hWnd, msg, wp, lp)); } return 0L; }

親ウィンドウができたらすぐにSetTimer関数を実行します。 終了時には忘れずにKillTimerしておきます。

WM_TIMERメッセージが来たらまず親ウィンドウの大きさを 調べるのは前回と同じです。そして、親ウィンドウの大きさを staticな変数に保存しておきます。親ウィンドウの大きさを 調べるのに使ったRECT rcのメンバに描画するBMPの位置を 代入します。基本的には、rc.left = x, rc.top = 0, rc.right = x + BMP_W, rc.bottom = BMP_Hなのですが、 これではちょっと困ったことが起こります。 とりあえず描画するBMPの位置をrcに代入します。 そして、このrcを無効領域にすればこの領域に対して 再描画が行われます。(InvalidateRect関数) じつは、新しく再描画する領域だけをrcに代入しただけでは 移動前の画像の一部が再描画されずに残ってしまいます。 そこで、先ほどのところでちょっとした工夫をします。 右に進んでいるのであれば、再描画領域の左上のx座標を 移動距離文だけ戻してやればよいことになります。

rc.right = x - 一回の移動距離

というぐあいになります。左方向に進んでいるのであれば 一回の移動距離文だけ足してやります。

rcの設定が終わったら描画する座標を決めます。 これは、前回と同じです。そして、

InvalidateRect(hWnd, &rc, TRUE);

を実行すれば先ほど決めたrc領域が再描画されます。

WM_PAINTメッセージを受け取ったらX,Y座標にBMPを 描画するだけです。これで、簡易アニメの出来上がりです。


簡易アニメの方法について3つのやり方を解説しました。 まだまだ工夫すれば方法はあると思います。 もっと簡単な方法を思いついたら筆者に教えてください。


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Update Jun/26/1997 By Y.Kumei
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