第43章 アクセラレーター付きメニュー


いままで、作成してきたプログラムのメニューで何か 物足りなかったものはありませんか。 実は、アクセラレータがつけてなかったのです。 ワープロなどで、メニューの第2階層に「貼り付け(P) Ctrl + V」 などとなっていますね。これは、わざわざメニューの第1階層を 開かずいきなり「Ctrl + V」でコマンドが実行されます。 これを狭い意味での「アクセラレーター」といいます。 広い意味のアクセラレーターはALTキーを押して、その後 何かキーを押します。(今までにも何回か出てきました)


では、アクセラレーターはどのようにすればつけることが できるのでしょうか。まず普通にメニューリソースを作ります。 そして、ユーザーにアクセラレーターのキーがわかるように これを表示させます。左の例ではShift + F1などです。

メニューキャプションのところで「猫の絵の表示(&C)\tShift + F1」 というように書けばこれが表示されます。「\t」はタブの意味です。

リソース・スクリプトで見るとどうなるかというと

MYMENU MENU DISCARDABLE BEGIN POPUP "ファイル(&File)" BEGIN MENUITEM "終了(&X)\tCtrl+X", IDM_END END POPUP "オプション(&Option)" BEGIN MENUITEM "猫の絵表示(&C)\tShift + F1", IDM_CAT MENUITEM "絵の消去(&D)\tShift + F2", IDM_CLR END END

とこんな感じになっています。実際はリソースエジタ(App Studio)が が作ってくれるので自分で書く必要はありません。また、IDM_ENDとか IDM_CATなどのシンボルの値も勝手にresource.hに作ってくれるので 自分で決める必要はありません。

次にビットマップリソースを作ります。(アクセラレーターとは関係ありません) 「ビットマップの新規作成ボタン」を押して適当な絵を描きます。
ビットマップリソースの名前を"MYBMP"などと適当につけておきます。

さて、次にアクセラレータ・テーブルというものを作らなくてはいけません。 これは、どういうキー操作がメニューアイテムのIDに相当するかというものです。 これまた、リソース・スクリプトで見てみると

MYACCEL ACCELERATORS DISCARDABLE BEGIN VK_F1, IDM_CAT, VIRTKEY, SHIFT, NOINVERT VK_F2, IDM_CLR, VIRTKEY, SHIFT, NOINVERT "X", IDM_END, VIRTKEY, CONTROL, NOINVERT END

と、こんな風になっています。シフト+F1キーが押されたときは メニューのIDM_CATと同じだというように考えればわかりやすいですね。 コントロール+XでIDM_ENDと同じにしておきました。(メニューから終了を選ぶのと同じ)

このアクセラレーターテーブルもリソースエジタが勝手に作ってくれるので 自分で書く必要はありません。「新規アクセラレーター」ボタンを押せば 簡単に作ることができます。

このダイアログボックスに次々と入力して行くだけです。 自前でリソースを作る人は、上のリソース・スクリプトを参考にしてください。 アクセラレーターテーブルのIDは"MYACCEL"とでもしておいてください。

リソース・ビューウィンドウで確かめると左のようになっていれば 準備完了です。名前を付けて保存で「適当な名前.rc」で保存します。 「プロジェクト」「プロジェクトへ追加」「ファイル」でこのrcを プロジェクトに参加させます。ソースファイルを書いたら これも同様の方法でプロジェクトに参加させます。後はビルドボタンを 押せば完了です。
前置きがずいぶん長くなってしまいました。 さて、本題に戻ります。リソースなどの材料がそろったらソースプログラムを 書きます。(実際は両方を作りながら書くことが多い)

アクセラレーターテーブルの組み込み 1.LoadAccelerators関数でテーブルをロードする 2.メッセージループにTranslateAccelerator関数を加える

たったこれだけの操作ですみます。

HACCEL LoadAccelerators( HINSTANCE hInstance, // インスタンスハンドル LPCTSTR lpTableName // テーブルのアドレス );

この関数で取得したHACCELを次のTranslateAccelerator関数で使います。

int TranslateAccelerator( HWND hWnd, // ウィンドウハンドル HACCEL hAccTable, // アクセラレーターテーブルのハンドル LPMSG lpMsg // メッセージのアドレス );

具体的にはメッセージループのところで

while (GetMessage(&msg, NULL, 0, 0)) { if (!TranslateAccelerator(hParent, hAccel, &msg)) { TranslateMessage(&msg); DispatchMessage(&msg); } }

というような感じで使います。ではサンプルのプログラムを 見てみましょう。

// sdk43.cpp #include <windows.h> #include "resource.h" LRESULT CALLBACK WndProc(HWND, UINT, WPARAM, LPARAM); BOOL InitApp(HINSTANCE); BOOL InitInstance(HINSTANCE, int); void DrawCat(HWND, HDC); char szClassName[] = "sdk43"; //ウィンドウクラス HWND hParent; //親ウィンドウのハンドル HACCEL hAccel; //アクセラレーターテープルのハンドル int paintsw = 0; int WINAPI WinMain(HINSTANCE hCurInst, HINSTANCE hPrevInst, LPSTR lpsCmdLine, int nCmdShow) { MSG msg; if (!hPrevInst) { if (!InitApp(hCurInst)) return FALSE; } if (!InitInstance(hCurInst, nCmdShow)) { return FALSE; } hAccel = LoadAccelerators(hCurInst, "MYACCEL"); if (hAccel == NULL) MessageBox(NULL, "失敗です", "", MB_OK); if (hParent == NULL) MessageBox(NULL, "ハンドルなし", "", MB_OK); while (GetMessage(&msg, NULL, 0, 0)) { if (!TranslateAccelerator(hParent, hAccel, &msg)) { TranslateMessage(&msg); DispatchMessage(&msg); } } return msg.wParam; } //ウィンドウ・クラスの登録 BOOL InitApp(HINSTANCE hInst) { WNDCLASS wc; wc.style = CS_HREDRAW | CS_VREDRAW; wc.lpfnWndProc = WndProc; //プロシージャ名 wc.cbClsExtra = 0; wc.cbWndExtra = 0; wc.hInstance = hInst; //インスタンス wc.hIcon = LoadIcon(NULL, IDI_APPLICATION); wc.hCursor = LoadCursor(NULL, IDC_ARROW); wc.hbrBackground = GetStockObject(WHITE_BRUSH); wc.lpszMenuName = "MYMENU"; //メニュー名 wc.lpszClassName = (LPCSTR)szClassName; return (RegisterClass(&wc)); } //ウィンドウの生成 BOOL InitInstance(HINSTANCE hInst, int nCmdShow) { HWND hWnd; hWnd = CreateWindow(szClassName, "猫でもわかるメニュー", //タイトルバーにこの名前が表示されます WS_OVERLAPPEDWINDOW, //ウィンドウの種類 CW_USEDEFAULT, //X座標 CW_USEDEFAULT, //Y座標 300, //幅 200, //高さ NULL, //親ウィンドウのハンドル、親を作るときはNULL NULL, //メニューハンドル、クラスメニューを使うときはNULL hInst, //インスタンスハンドル NULL); if (!hWnd) return FALSE; ShowWindow(hWnd, nCmdShow); UpdateWindow(hWnd); hParent = hWnd; return TRUE; } //ウィンドウプロシージャ LRESULT CALLBACK WndProc(HWND hWnd, UINT msg, WPARAM wp, LPARAM lp) { int id; HDC hdc; PAINTSTRUCT ps; switch (msg) { case WM_COMMAND: switch (LOWORD(wp)) { case IDM_END: SendMessage(hWnd, WM_CLOSE, 0L, 0L); break; case IDM_CAT: if (paintsw == 1) { MessageBox(hWnd, "すでに絵は表示されています", "注意!", MB_ICONEXCLAMATION | MB_OK); return (DefWindowProc(hWnd, msg, wp, lp)); } paintsw = 1; InvalidateRect(hWnd, NULL, TRUE); break; case IDM_CLR: if (paintsw == 0) { MessageBox(hWnd, "消去する絵がありません", "注意!", MB_ICONEXCLAMATION | MB_OK); return (DefWindowProc(hWnd, msg, wp, lp)); } paintsw = 0; InvalidateRect(hWnd, NULL, TRUE); break; default: return (DefWindowProc(hWnd, msg, wp, lp)); } break; case WM_PAINT: if (paintsw == 1) { hdc = BeginPaint(hWnd, &ps); DrawCat(hWnd, hdc); EndPaint(hWnd, &ps); } else { return (DefWindowProc(hWnd, msg, wp, lp)); } break; case WM_CLOSE: id = MessageBox(hWnd, (LPCSTR)"終了してもよいですか", (LPCSTR)"終了確認", MB_YESNO | MB_ICONQUESTION); if (id == IDYES) { DestroyWindow(hWnd); } break; case WM_DESTROY: PostQuitMessage(0); break; default: return (DefWindowProc(hWnd, msg, wp, lp)); } return 0L; } void DrawCat(HWND hWnd, HDC hdc) { HDC hmdc; HBITMAP hBitmap; BITMAP bmp; HINSTANCE hInst; int BMP_W, BMP_H; hInst = (HINSTANCE)GetWindowLong(hWnd, GWL_HINSTANCE); hBitmap = LoadBitmap(hInst, "MYBMP"); GetObject(hBitmap, sizeof(BITMAP), &bmp); BMP_W = (int)bmp.bmWidth; BMP_H = (int)bmp.bmHeight; hmdc = CreateCompatibleDC(hdc); SelectObject(hmdc, hBitmap); BitBlt(hdc, 0, 0, BMP_W, BMP_H, hmdc, 0, 0, SRCCOPY); DeleteDC(hmdc); DeleteObject(hBitmap); return; }


Shift + F1を押すと猫(?)の絵が出てきます。
Shift + F2で猫の絵が消えます。
Ctrl + Xで終了確認のメッセージボックスが出てきます。

もちろんマウスでメニューをクリックしていっても同じことができます。


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Update Jun/08/1997 By Y.Kumei
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